共通初期異変としてのうつ

統合失調症の場合でも
うつ病の場合でも
あるいはその他の精神的異変の場合でも
共通の初期症状として
うつ状態がある

考えてみれば
病変の場所も違うのだし
ドパミン系とセロトニン系とか関与する物質系も違いそうだし
そうなるとなぜうつ状態が共通の初期異変なのか
理解が難しくなる

当然考えられるのは
さまざまな初期異変に対する生体反応として共通のものがあり
そのひとつがうつ状態なのだろうということだ

その他には不眠、不安、食欲の異常、焦燥、意識野の狭窄などが挙げられる

つまりそれらは病変そのものではなくて
病変に対する生体の保護反応なのだろう

それなのに不眠、不安、うつなどを取り去って良いのかという問題は生じる

これはたとえばインフルエンザの時の発熱のようなもので
熱をそのままにしておくのも
それは生体がウィルスに対抗する手段であるという話は分かるのだが
現代では解熱剤を使って
体を楽にして
食欲を維持して栄養を保った方が結局回復には有利だろうと思う
発熱反応はそれしか反応がなかった場合の対処であって
薬剤が使えるならば
もっと合理的な解決があるだろう

同様に
不眠、不安、うつで代表されるような初期共通病変は
異常の印であり、病変に対して、または環境に対して、なにか対処すればいいと
考えられるのだが
それも難しい場合が多く、
それよりは結局、よく眠れるようにして、不安を和らげ、うつを緩和しておけば、
最終的には時間を待つことができて
待っていれば解決のきっかけをつかめることもあるというものだ

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一方で、病変の最終経路としての
共通症状というものもあり
たとえば知性の減退、感情の平板化、反応の常同化などがある

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final common pathwayの典型は認知症末期の病像で
何も考えたくないし
いつも同じ反応を返すし
物事の違いを感じることはないし
感情反応としても複雑さはなくなり
単に泣いたり怒ったり単純化する
という具合で
まるで最近のテレビと同じなのだ