その社会特有の発達段階と多国籍企業

どの地域社会にも発達段階があり、特殊事情もある。だから外部の人はそっとしておけばいいのだが、多国籍企業はそんなことをいっても待ってはくれない。国連はじめ国際機関もそんなにお人好しではない。

最近でいえば、テレビコマーシャルを流している企業のどの程度が多国籍企業または外資系企業だろう。かなり多いことが分かる。保険関係が特に目立つ。必死に国民を洗脳中である。
また、東京の土地を買っているのは誰だろう。資料を見ると、外資の名前がかなりある。名前は日本風でも、資金の出所と、利益の行き先は外国ということもあるだろう。ファンドマネーだと聞いた。

食料はどうだろう。BSEは論外に杜撰なこととしても、たとえば遺伝子操作による作物をどう考えたらよいのか。それは国民の安全だけではなく、南米の農業のあり方にも関ってくる。そして農薬の問題。アメリカから日本に運ぶ時、腐らない、そのようなものを食べている。だから、お宅の冷蔵庫の中でも、腐らないでしょう?

大きな政府はよくないから小さな政府にしたとして、その分の仕事が自国民に回らず、多国籍企業に回ってしまうのならば、主権者である国民はそれを望むだろうか。
また、国民に仕事が行くとしても、単に制度の不備・盲点をついたり、会計操作や法律操作でしのいだり、そんな人たちに蹂躙されていないだろうか。建築偽装、粉飾決算。

しかしまた、多国籍企業や軍事産業は、そんなにまでして、儲けなければならないものなのだろうか。他国民を泣かせてどうする。お互いにほどほどの暮らしをしていればそれでいいではないか。

小さな政府といえば、軍事に関しては、日本は自衛隊と米軍をセットで考えるとして、米軍に肝心な部分を委託する形で比較的小さな政府を実現している。諸国を比較した数字で見れば大きな軍事費であるが、それでも、自衛隊と米軍を総合した軍事力を考えれば、相対的に安い経費だろう。しかしそのような経費が果たして必要なものなのか、外部委託しているがゆえに高額になっていないか、検討する必要はあると思う。

思い切りよく日本を切り売りする政治家が、米国政府に認証されて、総理になるとしたら、国民はやりきれない。

まとめると、諸国では政治経済の成熟度が異なる。いきなりグローバルスタンダードを受け入れ、多国籍企業が商売できる場所にしてしまうのは、弊害がある。その地域独自の発達過程を理解し尊重する態度が必要である。その上で、たとえば近隣諸国で緩やかな共同体を形成していくことならば、むしろ望ましいことだろう。文化・価値観の共有や発達段階の類似があってはじめてできることだろう。

ハトの顔をしたハゲタカならばたまったものではない。ハゲタカは現在の優位を固定化するために必死なのだろうか。仲良く遊びなさいとハゲタカのお母さんは教えなかったのだろうか。自分の子どもがよその子をいじめて泣かせていても、ハゲタカのお母さんなら、仲良く遊んでいるわと認知するのだろうか。