一滴の血も流すことなく死刑は執行された

“人は悲しみで死ねるという実験1920年にある国で行われた実験でした。死刑囚にできるだけ苦痛を与えないという条件で行われた人体実験だった。医師は目隠しをして横たわった死刑囚の手首と足首にメスをあてがった。床には血を受け止める桶が置かれており、死刑囚は自分の手足から血がしたたり落ちるぽたぽたという音を聞いた。やがて死刑囚は眠るように静かに息を引き取った。医師は死亡を確認した。しかし、驚いたことに死刑囚の手足に傷痕はなかった。実は、医師はメスをあてただけで切ってはいなかったのだ。そして傷口にあたる場所には、ゆっくりと水滴が落とされた。桶の中に落ちていたのは、血ではなくただの水だったのだ。しかし死刑囚はそれを血だと思い込み、多量の血が流れていると思いこんで死亡したのだ。この恐ろしい実験の目的は、人間が強いストレスにより死に至るかを確かめることだった。一滴の血も流すことなく死刑は執行された。