「スキーマ療法」

「認知行動療法」というのは、簡単に言うと「いやいや、それとは別の考え方もできるよね」と自分にツッコミを入れられるようになるためのセラピーです。
自分に「なんでやねん」。
これができないときは、「どうせ〇〇に決まってる!」と強く思い込んでしまい、それに従って行動するので、うまくいかないことが多いです。気持ちもつらいです。
認知行動療法によって自分にツッコミを入れられるようになると、一人で思いつめていたのとは異なる視野が開けてきます。
物事に対し、これまでと別の捉え方ができるようになることで、気持ちも楽になります。これまでとは別の、もっといい行動を選ぶこともできます。
その一方で、心(脳)には認知行動療法では届かない部分があります。
「無意識」や「トラウマ」がそれです。
そもそも私たちはなぜ「どうせ〇〇に決まってる!」等と強く思い込んでしまう(歪んだ認知をしてしまう)のでしょうか。
それは、認知の歪みの奥底に、「だって俺は〇〇だから」という、より根本的な思い込みがあるからです。
この「より根本的な思い込み」を「スキーマ(信念)」といいます。
このうち、子ども時代に身に着けた、私たちの暮らしを不利な方へ追いやってしまうような宜しくないスキーマを「早期不適応スキーマ」と呼びます。
私たちは普段の暮らしの中で、特段この「早期不適応スキーマ」の存在を意識しませんが、私たちの行動や選択は多分にその影響を受けています。
子ども時代に心理的虐待などのトラウマティックな体験をしていると、知らず知らずのうちに「だって俺なんか生きていてもしょうがないから」等といった「早期不適応スキーマ」が心に刻まれていることがあります。
その結果、「みんな私を嫌っているに決まっている」といった「歪んだ認知」を持つかもしれません。
つまり、「早期不適応スキーマ」がある限り「歪んだ認知」はそこからこんこんと湧き出し続けるのです。「生きづらい」系の人が認知行動療法だけではなかなか晴れやかな気持ちになりきれない所以です。
「スキーマ療法」は、この「生きづらさ」の根本にアプローチすることのできる方法です。